SCRATCH初の12インチリリース...
2016.04.28
世界初、スクラッチの12インチ盤
GRANDMASTER FLASH & FURIOUS FIVE
SIDE-A THE ADVENTURES OF GRANDMASTER FLASH ON THE WHEELS OF STEEL
SIDE-B 8:30 THE PARTY MIX
SHUGARHILL RECORD ‘81
このA面の世界初のスクラッチの曲は、ビルボードHOT BLACK SINGLES ’81 5月23日付で第55位まで上昇しました。
B面はこの12インチの前にリリースした「BIRTHDAY PARTY」のただのインストルメンタルです。
曲は、CHICの「GOOD TIMES」のBEATがベースとなっている作品です。
イントロはSPOONIE GEE MEETS THE SEQUENCEの「MONSTER JAM」のイントロのサンプリングから始まり、続いて白人のポップスグループBLONDIEのRAP「RAPTURE」のサンプリング。
この曲は’81年2月21日付でビルボードBLACK SINGLES 33位まで上昇しました。昔から白人がBLACK系をリリースするとたいした曲じゃなくても必ずBLACKチャート上位にENTRYされます。
女性リードボーカルのDEBBIE HARRRYは、後にあのHIP HOP初の映画「WILD STYLE」にも出演しています。
そして、JAMES BROWNの「FUNKY DRUMMER」から白人初のRAPのリリースQUEENの「ANOTHER ONE BITES THE DUST」でスクラッチ。
ここでリズムが途切れるのが非常に残念な作りです。(最初のスクラッチリリースなのでしょうがないか)
この白人初のRAPであるQUEENの曲は、’80年8月23日付でなんと2位まで上昇しヒットを飛ばすと、すぐさま続々とパクリRAPの12インチがリリースされました。
超マイナーレーベルからマイナーグループのSUGAR DADDY「ANOTHER ONE BITES THE DUST(RAP)」やMASTER JAY「WE ARE PEOPLE TOO」そしてT.J. SWANN&PEEWEE MEL&SWANN CONTROLLERRS「MAXIMUS PARTY」などです。
そして曲は「GOOD TIMES」のBEATに変わり、SUGARHILL GANGの「RAPPER‘S DELIGHT」のBEATに繋いでいきます。
そして、FLASH自身の曲「FREEDOM」をサンプリング後「BIRTHDAY PARTY」ここでもBEATは途切れます。
SUGARHILL GANGの「8th WONDER」を経て最後に「GOOD TIMES」で終わります。
ある日、自宅でGRANDMASTER FLASHの幼い息子がレコードをこすって、いたずらをしているのを見てFLASHがスクラッチを発明したそうです。
レコードをこすって楽器代わりにするという斬新なアイデアは、当時誰もが驚きました。
しかし、スクラッチを受け入れるSOULファンと全く受け入れないSOULファンと大きく別れ、受け入れるSOULファンは、私を含め圧倒的に少なかったのであります。
この曲は、初めてのスクラッチと言うだけでなく、初めてのサンプリングも行っているのも凄いことです。
リズムが途切れているところは非常に残念な作りですが、スクラッチファーストリリースなのでしょうがないことです。
当時この曲をCLUBで試しにかけてみましたが、案の定ダンスフロア―からあっという間に人がいなくなったのを覚えています。
余談になりますが、このSCRATCHや曲と曲をつなぐDJ-MIXと言う技は、TechnicsのSL-1200というDISCO専用ターンテーブルがなければ生まれなかったもので、日本が世界に誇れるオーディオ機器の一つで、今でも当時と変わらない型で販売されています。
完全マニュアルで強いトルクと早い立ち上がり、暗いDISCOでも針先が見えるようにライト付き、そしてハウリング防止のためのゴムのボディーで、完成されたターンテーブルです。
この曲をリリースしてすぐに別の無名のアーティストが、スクラッチの12インチをリリースしていますが、当時も入手できませんでした。(アーティスト名不明)
ここで一旦、スクラッチは影を潜めますが、その後MALCOLM McLARENの「BUFFALO GALS」から始まりWEST STREET MOB「BREAK DANCIN’-ELECTRIC BOOGIE」でディスコファンに広まり、そしてあのHERBBIE HANCOCKの「ROCKIT」でようやくスクラッチがブレークするのです。