OAM(大口式)インプラント外科キッ...
2016.03.10
先日、OAM(大口式)インプラントセミナーを受講し、早速外科キットを購入いたしました。
オーギュメーター一式・ボーンスリッター一式・・オーギュシューター一式・マイクロイニシャルバー・ダイヤモンドソーカッター・マニュアルドライバー
以前は他のメーカーのツールでインプラント窩を形成して埋入していましたが、そのツールでは上顎の埋入がメインで、下顎の埋入は禁忌ではありませんが推奨はしていませんでした。
下顎の硬い皮質骨で使用すると裂開してしまうことがあるからです。
また、直径も2.0㎜からしかないため狭窄骨には使用できないので、上顎で3㎜以上の骨幅の症例しか使用できないものでした。
この大口式のオーギュメーターは、なんと0.5㎜から0.2㎜間隔で最大5.0㎜まで23種そろっています。
そして、裂開防止のためツールとしてボーンスリッターがあります。
これにより下顎の皮質骨でも裂開せずにインプラント窩を形成することができます。
以前使用していたツールでは、上顎でも裂開を起こしたためGBRでリカバリーすることもしばしばありました。
そもそもこのツールを使用する目的は、GBRを回避して患者さんの外科的侵襲と経済的負担を軽減することが主なので、裂開しては意味がありません。
従来使用していたツールでは、結構力を入れてインプラント窩を拡大するため骨に頬舌的なストレスがかかり裂開を起こしていました。
それを防止するため、自分なりにピエゾサージェリーで縦構を形成して、頬舌適応力を開放して拡大を行っていましたが、このボーンスリッターを使用すれば骨を削合することなく短時間でスリッティングすることができます。
このボーンスリッターは皮質骨を削合することはできないので、事前に皮質骨に溝を掘っておく必要があります。
マイクロイニシャルバーで近遠心的に複数個所ドリリングした後、ダイアモンドソーカッターでドリリングホールをつないだ溝を作ります。
そして、その溝にボーンスリッターを挿入して頬舌的拡大を行っていきます。
(しかし、ダイアモンドソーカッターは滑ると危険なのでピエゾサージェリーで行ったほうが無難です。オーギュシューター一式を購入するとサービスで付属しますが...)
基本的に大口式では、拡大する際には裂開防止のため大きな力を加えて行いません。
力を加えずに拡大する方法としては、オーギュメーターの操作方法でジグリング法と言って拡大の際に頬舌的方向に「の」の字を描くようにして拡大を行う方法があります。
それでも拡大が困難な硬い骨質の場合の方法としては、ステップバック法という拡大法があります。
埋入深度までオーギュメーターが挿入しにくくなった場合には、無理に挿入せずにそこでジグリングを行い、ワンサイズ細いオーギュメーターに戻ってそのサイズでジグリングを行い根尖側の海綿骨を拡大した後、拡大したいサイズに戻して埋入深度まで拡大していくという方法です。
さらに硬い骨質の場合には、オーギュメーターとドリルを併用したハイブリッド法で拡大を行います。
ハイブリッド法とは、オーギュシューターで無理のない深度まで拡大を行った後、オーギュシューターという専用ドリルでインプラント埋入深度まで削合して拡大します。
このオーギュシューターというドリルは、先端部のみ刃がついているため、インプラント初期固定の要であるインプラント上部の骨頂部皮質骨を削合することなく根尖側の海綿骨のみを削合拡大するツールです。
しかし、このドリル1本20,000円以上もします。
この高額なドリルを使用しない方法としては、拡大したオーギュメーターのサイズより0.1㎜以上径の細いインプラントドリルを使用して、骨頂部の皮質骨を触らないようにして深度のみを削合すれば高いドリルを買わずに拡大が行えます。
デリケートな骨の症例では、ドリリングはエンジンではなくマニュアルドライバーで行ったほうより安心です。
OAM法の欠点としては、ドリリングで行う方法よりかなり時間がかかることです。
時間がかかるため埋入中に麻酔がきれてしまうからです。
以前使用していた他のメーカーのツールで行っていた時でもインプラント埋入4本が限界でした。
多数歯欠損の症例では、浸潤麻酔のみの手術ではなく静脈内鎮静法を行うなりして患者さんの苦痛を軽減することも必要と思われます。
しかし、OAM法はGBR法の回避・脆弱骨のコンデンス・狭窄骨の拡大・抜歯即時埋入のツールとしては患者さんの外科的侵襲・経済的負担の軽減・予知性の高いサージェリーと言えると思います。同業の先生の方々にもお勧めします。
今後も最新の医療技術を習得し、日常の臨床の幅を広げるため勉学に励みたいと思います。