第9回 国際歯科大会 2023
2023.10.01
本日、第9回ワールド・デンタルショー パシフィコ横浜に行って参りました。
2019年までは毎年デンタルショーには行っておりましたが、コロナのため自粛し参加するのは4年ぶりです。
朝早めに行きましたが、すでに今までにない混雑で入場受付に長蛇の列で、入場までに40分以上かかりました。
やはり皆さんコロナで自粛して、その反動で参加したのでしょうか。
デンタルショーとは、年1回各歯科医療機器メーカーと歯科材料メーカーが出展する全国最大のショーです。
ほぼ全ての歯科関連の最新機器や歯科材料を見学・紹介してもらえる情報源です。
また、新規に開業される先生方や買い換えを考えている先生方はデンタルユニットやレントゲン・CTなどが全てのメーカーがそろっているので必須です。
ところで私の今回目的は、インプラント器材の新情報となんと言ってもこれから主流となる口腔内スキャナーです。
口腔内スキャナーとは、口腔内をデジタル撮影して型取りが行えるハイテク機器です。
口腔内全体をスキャナーでなぞるように撮影し、約30秒程度で撮影が完了できます。
すなわち、現在の型取りを行わないでデジタル撮影のみで型が取れるということです。
ほぼ全ての歯科医院はアルジネートやシリコンラバーなど粘土のようなものを口の中に入れて硬化するまで2~3分待ち、撤去するという印象という方法で行っています。
患者さんにとっては、とてもつらい治療の一つで嘔吐吐反射が強い方はこれが嫌で歯科医院に行かないという人もおります。
口腔内スキャナーは、このつらい型取りがなくなる画期的な歯科医療機器です。
従来からありましたが、非常に高額で手が出ませんでしたが、近年普及してきたため価格も安くはありませんが落ち着いてきております。
現在、社会保険適用はなく自費診療ですが、将来は従来の型取りから100%移行すると考えられるので、いずれは保険適用と予想されます。
また、型取りがなくなるだけでなく、石膏模型も作る必要がなくなります。
現在はアルジネートなどで型を取っていたものに石膏を注いで歯の模型を製作し、これを元に技工作業を行っております。
このとき問題なのは、
① 型を取って固まった時
② 型に石膏を流してそれが固まった時
③ 技工作業で歯の形をワックスで製作した時
④ ワックスを埋没材という石膏を注いだ時
⑤ その埋没材に溶かした金属を流して鋳造した時
この5段階を経てようやく銀歯やセラミック歯が出来るのですが、この過程で少しずつサイズが変わっていくのです。
従って、型を取ったサイズのまんまに歯が出来ることはありません。
ですので、たまにかぶせものを患者さんにセットするときに入らなかったり、高さが高かったり、隣の歯との隙間が空きすぎたりという現症が起こるのです。
しかし、口腔内スキャナーを用いれば①と②過程がなくなり精度がかなりアップします。
また、ミリングマシンを使用すれば①②③④⑤の過程が全てなくなりスキャンしたサイズそのものの歯が出来るというわけです。
しかも従来の型取りの場合は、アシスタントの型を練る技術・術者の型を取る技術・技工士の技工作業の技術により精度と出来がかなり左右されます。
また
① 型取りに使用したトレーのアルジネートの撤去と清掃と滅菌
② 石膏模型の撤去と廃棄
③ 石膏模型のトリミングと模型製作
④ 歯のワックス製作
⑤ ワックスの埋没と埋没材の廃棄
⑥ 電気炉不使用のため節電可能
⑦ 鋳造機とガスバーナー不使用
といった作業がなくなり仕事量と廃棄物とエネルギーの削減が大幅に向上し、人手不足の解消と地球環境にやさしいという利点があります。
かつての紙社会から電子社会に移行してきているように、歯科界もアナログの型取り・石膏模型からデジタル社会に置き換わっていくのは、間違いありません。