インプラントの最新ツールを導入しまし...
2017.01.28
以前ブログでご紹介したOAM(大口式)インプラント埋入法の最新のツールであるソケットリーマーとジグリングオステオトームを導入いたしました。
上顎臼歯部の骨のほとんどはその上部にある上顎洞という空間があるため、インプラントを埋入する深さがないのが現状です。
それを補うため、その上顎洞粘膜を持ち上げて骨が不足した部分に人工骨や自家骨そして自己血を採取したフィブリンなどを充填してインプラントを埋入するソケットリフトという骨造成法があります。
その他に頬側から上顎洞粘膜を持ち上げて人工骨などを充填してインプラントを埋入するサイナスリフトがありますが、この方法は外科的侵襲が大きいため骨の深さが5㎜以上あるケースでは、ソケットリフトの方が有効です。
その時使用するのがオステオトームという外科ツールです。
以前のオステオトームは、槌打して上顎洞粘膜のリフティングとインプラント埋入窩を形成するものでしたが、この方法はマレッティングする際に頭部に強い衝撃を受けるため、患者さんに相当な不快感を与え、まれにめまいを起こすという報告がありました。
そのため最近ではこのオステオトームも使用されなくなりました。
以前当クリニックでは、ソケットリフトはオステオトームをやめて水圧で行うCASkitを導入して行っておりましたが、安全に上顎洞粘膜の挙上はできましたが、インプラント窩の形成は全てドリリングであったため十分な初期固定は得られませんでした。
そこで十分な初期固定を得るため当クリニックでは、CASkitで上顎洞粘膜を挙上してからオーギュメーターで骨を圧縮してインプラント窩を形成して埋入しておりました。
しかし、オーギュメーターは先端が鋭利なため深く挿入すると上顎洞粘膜を破ってしまう危険があるためインプラント根尖部までの拡大が十分できませんでした。
そしてもう一つは、上顎臼歯部において骨の深さも幅もないケースにおいては、ソケットリフトで上顎洞粘膜を持ち上げて垂直的に骨造成を行い、さらに骨幅はGBR法によって水平的な骨造成を行わなければならないという方法でした。
今回の導入したソケットリーマーというツールは、顎洞粘膜を傷つけることなく骨を削合できるという特殊なドリルです。
以前のようにマレットで骨を槌打しないので、患者さんに不快感を与えることなく上顎洞粘膜を挙上できます。
挙上量をもっと上げたければ、CASkitでを用いてさらに顎洞粘膜を持ち上げます。
次にジグリングオステオトームは、以前のオステオトームの使い方のように槌打するのではないので、オーギュメーターの使用法と同様に軽い力で回転とジグリングをして拡大を行います。
それにより優しい力でインプラント窩の形成と同時に骨を圧縮するためインプラント埋入周囲の骨密度を高めるとともにインプラント体の十分な初期固定を得ることができます。
そして、骨幅がないケースにおいてもオーギュメーターの使用方法同様GBR法を行わずして骨幅を拡大させ、水平的に骨造成を行うことができます。
従ってこのジグリングオステオトームによるソケットリフトは、患者さんの外科的侵襲が軽減されると共に手術費用も抑えることができ、術者においても術式がシンプルとなる有効な手術方法と言えます。